ここ数日に観た映画 その1 『マイ・バック・ページ』『ヤバい経済学』『インサイド・ジョブ』『RED』

GW中、最後の日曜日を除いて毎日仕事だった。しかし妻が実家に帰省しているため、自分だけの時間は多く作れた。
映画館にも行けたし、録画ストックも消化した、勢い余って4本レンタルもした。

そんな数日間の映画日誌です。3回に分けます。

まず
ヤバい経済学』録画。経済書の原作があるのだが、それを映画化してしまった製作者に拍手。タブーを理論でぶった斬った快作だ。相撲の八百長検証は必見。インタビューで曙と小錦が出ていた。これってヤバくないの?内容は前々から知っていたが、見入った。

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インサイド・ジョブ世界不況の知られざる真相』録画。オスカー受賞作。余りにも有名作だけに、いや〜いまさらだった。だって知られざるって言っても、もう知ってるもんね。公開時見てれば驚愕していたかも。マット・デイモンがナレーションの贅沢さとインタビューした人物の多さには頭が下がる。

RED/レッド』録画。まじ観る価値なし。アホらしくて中盤から早送り。少しだけ期待した俺がアホだった。何も得ない映画の代表作に認定じゃ。
RED/レッド [DVD]

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本題は、『マイ・バック・ページ』レンタルDVD。
2011年山下敦弘監督作、妻夫木聡松山ケンイチ主演。

久しぶりに熱のある映画を観た、というのが最初の印象だ。そもそも映画の題材が全共闘運動である。熱いに決まってるが、同じ松ケンでも『ノルウェイの森』での全共闘は冷え冷え。「僕」は学生運動に冷淡だったのだ。ま、それはどうでもいいが、題材は違えど同じ時代を描いているので比べてしまう。
マイ・バック・ページ』は川本三郎氏原作の映画化である。この本、知ってはいたし興味も持っていたが未読だった。結果、映画を観て即購入した。
映画では描けていない奥を知りたかった。

話は妻ちゃん演じる新米ジャーナリスト(某大手新聞記者)と松ケン演じる左翼学生の交流を軸に、時代に翻弄される二人の苦悩と葛藤、挫折と"涙"を描いている。

見どころは妻ちゃん他、役者陣の素晴らしい演技だろう。特に妻ちゃんと前園勇を演じる山内圭哉(この映画で初めて知った)。
妻夫木は俺は近年舐めていた。年々緩くなっている印象を受けていたから。しかしこの映画で皮が剥けたんじゃないか。演技の上手さより、映画を推進する力がある。彼は映画俳優といえるだろう。恐るべし。昔は可愛い古着マニアだったのに。頑張ってほしい。
山内氏は初めて観たが、リアルすぎたwこの人が出てきた瞬間、映画の空気が変わりドキュメンタリーのようなリアリズムが醸し出す。威容だ、ある意味海老蔵級。

残念なのは松ケン君。俺アンチではないですけど、ガンツよりはもちろん良かったです。ただなーんか演技にリアルさを感じれない。もちろん雰囲気は素晴らしいし、熱かった。だけど、あと一歩欲しいんだよな、なんか魅了する何かが。わからんけどさ、わかったら俺が役者やるよ。

あとモデル役の忽那汐里さん、むちゃくちゃ良かった。可愛いのはもちろんだけど、演技も自然で堂々としていた。妻ちゃんが押されてたシーンも。ただこの子、なんて悲しい人生なんでしょう。

さて、ラストですが、もういつになったらアレを流すんだろうと、そればっか考えながら見ていました。

で、時は経ち、妻夫木演じる沢田は証憑湮滅で逮捕され社会から見捨てられる。それでも映画雑誌(キネ旬)に寄稿するようになっていたある試写会終わり、映画会社のスタッフに飲みに誘われるが断る。そしてとぼとぼ一人飲み屋に入ると、店主は昔の仲間だった。最初は懐かしがっていたが、彼には妻と幼い子供がいるのを見る。
そして沢田は自分の人生を振り返ったのだろう。あまりにバカだったあの頃。大きなチャンスを目の前に余りに欲にかられた。無責任な行動でどれだけ人生を踏み外したか、自分に泣けてきたのだろう。このシーンわかっちゃいたけど、良かった。
妻夫木の老けた役作りも良かったと思う。歩き方まで頑張っていた。

エンドクレジットでスタイリストが伊賀大介だと知る。この人、あまり映画には出てこないでほしい。自分を出しすぎるから。でもこの映画では悪くなかった、松ケンの衣装を除いては。松ケンさ、服持ちすぎよ。ちょこちょこ洒落たシャツ着てたけど、同じ服着回しのがリアルだったな。

と、ここまでこの映画、褒めたけど弱いところも多いです。やはり、山下監督、この時代をよくわからんらしく、脚本家までそのようなことを言っていたとか。新聞社側の描写に関してはドラマ『クライマーズ・ハイ』の描写のがリアルだったが、頑張っていたほうだと思う。社内にある赤ちょうちんにはびっくり。
で問題は全共闘の学生の描き方だろう。若松孝二監督も連合赤軍を描いた映画を撮ったが、あれは嫌いなんだが、まだあっちのがリアルなんだよな。恐ろしかったもんね。マイバックは恐ろしさもなけりゃリアルもなく深みもなかったな、左翼に。ただ考えさせられはしましたよ、共産主義について。大反対ですが。

一番ムカついたのは自衛官襲うシーン。あれはないぜおい。どんだけ弱いんだよ自衛官。あんなちんけな攻撃で倒れないっつの。後ろから首絞めようとしてただけで、声も発せないわ倒れちゃうわ、あげくナイフで刺される。もっと緊迫感が欲しかったね。あれポン・ジュノに撮らせたら名シーンに仕上げてたろうな。

最後のエンディング曲!あれすごく良いんだけど、奥田民生だけでいいです。真心さん、いりませんでした。
ま、そんなとこです。以上。タイトルは我ながらあっぱれです。ニヤリ。
変な並びwバランス考えろや、色も異様だし。

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マイ・バック・ページ - ある60年代の物語

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