レンタルショップでの面接を回想する
東京での学生時代のこと。
大好きだったツタヤさん某店へ面接に行った。その店はバイト先が近かったため一時愛用していた。場所柄芸能人もちらほら。
客層もいいのか品揃いが素晴らしく、監督別など区分けも見やすかった。そこでカウリスマキ映画にも出会わせてもらったし、感謝しております。
Q.タランティーノはビデオショップで働きながら映画を観まくった話は有名だが、勤めていたバイト先にも飽きていたので、上記の魂胆で行き着けだったその某店に面接に行ったわけです。
面接内容はやはり一番大事な出勤可能日や時間を主に聞かれた。働くのが嫌いだった俺だけど、かなり無理して多い目に答えた。反応は悪くなかった。
最後に、男30過ぎの面接官は「あなたの一番好きな映画は?」とニタニタ聞いてきた。俺は即座に「恋する惑星です」と答えた。
すると面接官の男は苦笑した。声は出ていなかったが、顔はあきらかに俺を嘲笑っていた。
その瞬間、俺の中で面接官とこの店への愛情は無くなった。
そして面接は終わったが、俺は「他人の好き映画を聞いて反論するでもなく見下す笑いを浮かべるあなたが仕切る店では働かない」と丁重にお断りした。
今思う、『恋する惑星』を彼はどう捉えていたのかと。
きっと彼は俺より映画の本数は多く見ていただろう。おそらく映画を誰よりも愛していると自分で思っていただろう。俺様の店に働きに来るやつにも映画愛のハードルを高めで待っていたんだろう。
じゃあ『恋する惑星』はいわゆる映画を扱う仕事の人間から見たらどういう映画なのか。
ウォン・カーウァイ監督は旧来の映画とは全然違う感覚と映像と構成を持っていた。熱狂的なファンも作りやすい反面、アンチも作りやすい。
要は昔の映画最高ーフォー!的な輩は蕁麻疹が走る映画を多く作っていたわけで。脚本こそ命!みたいなこと等。カーウァイの映画に脚本はない。北野武映画もそうであるように、映画を現場で作っていく主義であり、そこへのこだわりは尋常ではない。そのため撮影期間延長もしょっちゅう。
その面接官もその辺りの輩、もしくは『恋する惑星』?ププ、女が見る映画じゃい!くそポップなアホの映画じゃい!っていう偏見も持って捕らえた、お前がアホじゃい!な映画に対して貧相で頭の悪い反応しかできない男だったのだ。ここは言い切る。
で、俺が思うに『恋する惑星』だけど、この映画はどこよりも早くいわゆる萌えを表現した男の為の映画なんですよ。
主演の愛しのフェイ・ウォン。俺はとって彼女の役はツンデレ萌えなわけです。中学のときに恋して今でもアコガレの女性ですから。
警官役のトニー・レオン様もそう。ホモセクシャル的鈍感萌えとでも言おうか。白ブリーフにあの笑顔、どこまでも鈍い堕落警察官、こんな愛しい映画キャラ過去いただろうか。いたかもしれん。
金城武のアホで純朴で強靭な持久力を持つ警察官も素晴らしかった。金髪女のサングラスに隠れた目をどれだけ想像したか。まさに男を喜ばす映画なんだよ。
それとこの映画は女性にも好きな方が多い。それは非常に嬉しいね。
だって映画全部めちゃくちゃ可愛いもんね!
まあ、この映画、結局のところ主題歌『夢中人』の素晴らしさに尽きるんですけどね。
わかったか面接官、俺は大好きなんだよ。文句があるなら笑う前に自分の店をよーく見回してこい。『恋する惑星』から影響を受けた映画ばかりだろ。アホう。
こういうこと書いてる俺は一番クズだ。
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